「今の仕事を辞めたいけど、次の仕事が決まっていない」
そう考えたとき、意外と難しいのが「何から始めればいいのか分からない」という問題です。
求人を探した方がいいのか、転職サイトに登録するのか、先に退職を伝えるのか。考えているうちに時間だけが過ぎてしまうこともあります。
私自身、長く夜勤を続けたあとに退職を経験しました。仕事を辞めることを考え始めたときは、退職そのものだけでなく、その後の生活についても考える必要がありました。
次の仕事が決まっていないからといって、必ずしも今すぐ退職してはいけないわけではありません。
ただ、勢いだけで辞めるのではなく、**「辞める前に何を整理するか」「転職活動をどう進めるか」**を決めておくことが大切です。
この記事では、次の仕事が決まっていない状態で仕事を辞めたい人に向けて、転職活動を始める前に考えておきたいことから、実際に応募・面接・退職へ進むまでの流れを整理します。
次の仕事が決まっていないなら、まず転職活動の全体像を知る
転職活動を始めるとき、いきなり求人を探し始める必要はありません。
最初に知っておきたいのは、転職活動には大まかな流れがあるということです。
基本的には、
転職の軸を決める
↓
スケジュールを考える
↓
これまでの経験やスキルを整理する
↓
求人などの情報を集める
↓
応募書類を準備する
↓
応募・面接
↓
内定
↓
退職手続き
という順番で進めていきます。
転職活動の全体像を把握しておけば、「次に何をすればいいのか」が分かりやすくなります。
逆に、全体像が分からないまま始めると、求人を眺め続けたり、転職サイトを比較したりするだけで、なかなか最初の一歩を踏み出せないことがあります。
今回参考にした資料でも、転職活動の第一歩として全体感をつかむことが重要だとされています。
最初に「転職で何を変えたいのか」を決める
次の仕事を探す前に、まず考えておきたいのが「転職の軸」です。
転職の軸とは、簡単に言えば、
「次の仕事で何を一番重視するのか」
ということです。
例えば、
- 給料を上げたい
- 夜勤を減らしたい
- 土日休みがいい
- 残業を減らしたい
- 通勤時間を短くしたい
- 人間関係のストレスを減らしたい
- 未経験の仕事に挑戦したい
- 自分の時間を増やしたい
などがあります。
ここで大切なのは、すべての条件を最高にしようとしないことです。
給料、休日、勤務地、仕事内容、勤務時間、人間関係など、すべてを理想どおりにするのは簡単ではありません。
だからこそ、
「何を優先するのか」
と同時に、
「どこなら妥協できるのか」
も考えておきます。
参考資料でも、転職の軸を決めるときには、優先する条件だけでなく、どの条件なら捨てられるかまで考えることが重要だとされています。
例えば「給料を上げたい」と考えていても、
「多少通勤時間が長くなってもいい」
「仕事内容は今と大きく変わらなくてもいい」
と決めておけば、求人を探すときの判断がしやすくなります。
逆に、すべての条件を譲れないものにすると、応募できる求人が極端に少なくなることがあります。
転職活動のスケジュールを先に考える
次に考えたいのが、いつまでに転職したいのかです。
「できるだけ早く辞めたい」と考えることもあると思います。
ただ、転職活動は自分だけの都合で進むとは限りません。
求人の募集時期、応募先との面接日程、選考期間、内定後の入社時期、現在の会社での引き継ぎなど、いくつもの要素があります。
そのため、
「○月には辞めたい」
という希望があるなら、そこから逆算して考える方が進めやすくなります。
参考資料では、準備・応募と選考・内定と退職手続きをそれぞれおおむね2か月として、全体で6か月程度という一例が紹介されています。ただし、これはあくまで一つの目安で、実際の転職活動は人や応募先によって大きく変わります。
実際には、短期間で決まる人もいれば、長期間かけて転職先を探す人もいます。
大切なのは「6か月で終わらせる」ことではなく、自分が希望する退職時期から逆算して、余裕を持った計画を作ることです。
複数の会社に応募すると、面接日程が合わなかったり、選考期間がずれたりすることもあります。
最初からギリギリのスケジュールにしない方が安心です。
これまでの仕事を整理しておく
転職活動を始めるなら、これまで自分が何をしてきたのかも整理しておきます。
難しい自己分析をする必要はありません。
まずは、
- どんな仕事をしてきたか
- どんな業務を担当してきたか
- どんな資格を持っているか
- どんな作業ができるか
- 人と接する仕事をしてきたか
- パソコンを使った仕事をしてきたか
- 後輩や新人を教えた経験があるか
- 長く続けてきた仕事は何か
などを書き出してみます。
自分では当たり前だと思っている経験でも、別の会社では仕事に活かせるスキルになることがあります。
例えば、
「接客をしていた」
だけでも、
「お客様への対応経験がある」
「クレーム対応を経験している」
「電話対応ができる」
「予約管理をしていた」
など、具体的に分解できます。
転職活動では、こうした経験を整理しておくと、応募先を選ぶときや応募書類を作るときにも使いやすくなります。
参考資料でも、ここでいう自己分析は、これまでの業務を棚卸しして「どんな仕事をしてきたのか」「どんなスキルがあるのか」を整理するものとして説明されています。
求人は「条件」だけでなく仕事内容まで確認する
転職先を探すときは、給与や休日だけで判断しないようにしています。
求人を見るときは、
- 仕事内容
- 勤務時間
- 休日
- 給与
- 勤務地
- 通勤時間
- 福利厚生
- 残業
- 転勤の有無
- 未経験でも応募できるか
などを確認します。
特に重要なのが仕事内容です。
「給料が高いから」
「家から近いから」
という理由だけで応募すると、実際に働き始めてから「思っていた仕事と違った」と感じる可能性があります。
最初に決めた転職の軸と求人内容を照らし合わせて、
「この仕事は、自分が転職で変えたいことを満たしているか」
と考えるようにします。
次の仕事が決まっていないまま退職する場合は、お金を確認する
次の仕事が決まっていない状態で退職するなら、転職活動だけではなく、その間の生活も考えておく必要があります。
最低限、
- 毎月いくら必要なのか
- 貯蓄はいくらあるのか
- 収入がなくても何か月生活できるのか
- 退職後に発生する支払いは何か
- 転職活動にどの程度のお金を使えるのか
を確認しておきます。
ここを確認せずに退職すると、転職活動が長引いたときに焦ってしまいます。
「早く収入を得なければいけない」という状態になると、本来なら選ばなかった仕事に急いで決めてしまう可能性もあります。
だからこそ、退職前に生活費を確認しておくことには意味があります。
退職後の制度も事前に確認しておく
次の仕事が決まっていない状態で退職する場合、雇用保険の基本手当など、退職後に利用できる制度についても確認しておきます。
ただし、失業給付は「退職すれば必ず受け取れる」というものではなく、一定の受給要件があります。厚生労働省によると、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。
また、自己都合退職の場合には給付制限があり、2025年4月1日以降の退職では原則1か月となっています。ただし、過去5年間の自己都合退職の回数などによって扱いが変わる場合があります。
制度は変更されることもあるので、退職時点の最新情報を確認することが大切です。
「失業給付があるから大丈夫」と最初から決めつけるのではなく、自分が本当に対象になるのかを確認したうえで生活費を考えるようにします。
転職サイトや転職エージェントは早めに使っていい
転職活動を始めるときは、求人情報を自分だけで探し続ける必要はありません。
転職サイトや転職エージェントを利用すれば、自分の条件に合う求人を探したり、応募先を検討したりできます。
特に、
「どんな仕事が自分に合うのか分からない」
「自分の経験で応募できる仕事が分からない」
という場合は、第三者の意見を取り入れることで選択肢を広げられることがあります。
ただし、登録したサービスから紹介された求人をすべて受ける必要はありません。
最初に決めた転職の軸を基準に、
「自分の条件に合っているか」
を判断します。
転職サービスを使うこと自体を目的にせず、あくまで転職先を探すための手段として利用する方がいいと思います。
「次が決まっていないから辞められない」と考えすぎない
次の仕事が決まっていない状態だと、
「退職してから仕事が見つからなかったらどうしよう」
という不安が出てきます。
これは当然だと思います。
ただ、だからといって、
「次の仕事が決まるまで何も考えず今の仕事を続ける」
という必要もありません。
まずは、
転職するかどうかを考える
↓
転職するなら何を変えたいのか決める
↓
生活費を確認する
↓
求人を調べる
↓
自分の経験を整理する
というところまで進めてみます。
ここまでやるだけでも、「辞めたいけど何も決まっていない」という状態から一歩進めます。
ただし、今の仕事を続けることが難しい場合は別に考える
基本的には、次の仕事を探しながら退職時期を考える方が生活面では安心です。
ただし、すべての人が同じ方法を取れるわけではありません。
例えば、
- 心身への負担が大きい
- ハラスメントを受けている
- 長時間労働が続いている
- 仕事を続けることで生活に支障が出ている
- すぐに環境を変える必要がある
など、現在の仕事を続けること自体が難しいケースもあります。
そういう場合は、
「次が決まっていないから絶対に辞めてはいけない」
と考える必要はありません。
その場合でも、退職後の生活費や利用できる制度を確認し、次の仕事を探す準備をしておくことが重要です。
私が思う、次の仕事が決まっていない人の最初の一歩
「仕事を辞めたいけど、次が決まっていない」
という状態なら、いきなり退職届を書く必要はありません。
まず紙やスマホのメモに、
「今の仕事で一番変えたいこと」
を書いてみます。
例えば、
「夜勤を辞めたい」
「給料より休日を増やしたい」
「人間関係のストレスを減らしたい」
「通勤時間を短くしたい」
などです。
そこから、
何を優先するのか
何なら妥協できるのか
を考えます。
次に、これまでやってきた仕事を書き出します。
この2つが整理できると、求人を見るときの基準がかなり明確になります。
転職活動は、求人サイトを開いた瞬間から始まるわけではありません。
「自分は何を変えたいのか」を整理するところから、すでに始まっています。
まとめ
次の仕事が決まっていない状態で仕事を辞めたいなら、勢いだけで退職するのではなく、まず転職活動の全体像を把握しておくことをおすすめします。
流れを整理すると、
- 転職で何を変えたいのか決める
- 優先する条件と妥協できる条件を整理する
- 退職・転職の希望時期からスケジュールを考える
- これまでの仕事や経験を整理する
- 求人を調べる
- 応募書類を準備する
- 応募・面接を進める
- 内定後に退職手続きを進める
という形です。
そして、次の仕事が決まっていない状態で退職するなら、転職活動だけでなく、退職後の生活費や利用できる制度についても確認しておきます。
大切なのは、最初から完璧な答えを出すことではありません。
「仕事を辞めたい」と思った段階で、まずは何が嫌なのか、何を変えたいのか、どこなら妥協できるのかを書き出してみる。
そこから求人を調べ、自分の経験を整理していけば、少しずつ次の選択肢が見えてきます。
私自身も退職を経験して、仕事を辞めるということは、単純に会社を辞めるだけではなく、その後の生活まで含めて考えることが大切だと感じました。
焦って次を決める必要はありません。
ただ、考えているだけで時間を使い続けるのではなく、まずは小さな一歩から転職活動を始めてみるのがいいと思います。


