会社を辞めることを決めたら、退職日を決めて仕事を終えるだけだと思っていました。
実際には、退職前に確認しておいたほうがいいことがいくつもあります。
有給休暇、賞与、退職金、就業規則、最終給与、退職後の生活費などです。
特に厄介なのが、「退職してから調べればいい」と考えていると、確認しにくくなるものがあることです。
私自身も退職を考えるようになってから、会社を辞めることそのものだけではなく、辞める前に確認しておくことが大切だと感じました。
この記事では、退職を決めた人に向けて、退職前に確認しておきたいお金や権利、会社との手続きについて整理します。
法律や制度については個別の事情によって扱いが変わる場合があるため、ここでは一般的なルールを中心に解説します。
退職前は「辞める準備」だけでなく知っておきたいことがある
退職を決めると、どうしても「上司に伝える」「退職届を出す」「引き継ぎをする」といった会社側の手続きに意識が向きます。
もちろん、これらも大切です。
ただ、私が退職について考えてきた中で、それと同じくらい重要だと感じたのが、
「自分が受け取れるものや、確認しておくべき条件を先に把握すること」
でした。
例えば、
- 残っている有給休暇
- 賞与の支給条件
- 退職金の有無
- 最終給与の支給日
- 就業規則
- 退職後の生活費
- 健康保険や年金
- 雇用保険の手続き
- 会社から受け取る書類
などです。
退職してから確認するより、在職中に確認できるものは先に確認しておいたほうが安心できます。
特に、就業規則には退職に関する手続きや会社独自の制度が記載されている場合があります。厚生労働省も、退職手続きについて就業規則などを確認したうえで進めることを案内しています。
退職前に確認しておきたい5つのお金・権利
有給休暇は退職前でも取得できる
退職を決めたとき、忘れずに確認したいのが残っている有給休暇です。
「もう辞めるから、有給を使うのは申し訳ない」と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、年次有給休暇は労働者の権利です。
退職日までに残っている有給休暇をどうするかは、退職前に確認しておきたいポイントの一つです。
特に退職日が決まっている場合、残った有給を取得できる日数や勤務予定との関係を早めに確認しておくと、最後になって慌てにくくなります。
厚生労働省の労働局でも、退職間際の年休について、退職日までの勤務日に充てることができる旨が案内されています。
私自身も退職を考えたとき、有給休暇は「残っているなら使えるか確認しておくもの」と考えるようになりました。
退職日は一度決めると動かしにくくなるため、
退職日を決める前に、有給が何日残っているのかを確認する
くらいの意識でもいいと思います。
賞与は「もらえると思い込まない」
退職前に確認しておきたいのが賞与です。
「夏のボーナスをもらってから辞めよう」
「冬のボーナスが出てから退職しよう」
と考える人もいると思います。
ただし、賞与は会社ごとに支給条件や算定方法が異なります。
そのため、
「支給日まで在籍していれば必ずもらえる」
といった形で一律に考えるのは危険です。
就業規則や賃金規程、賞与規程などに支給条件が記載されている場合は、そこを確認しておきましょう。
退職時期を決める前に、
- 賞与の算定期間
- 支給日
- 支給条件
- 支給日在籍要件の有無
などを確認しておくと、自分の予定を立てやすくなります。
「ボーナスをもらってから辞める」という考え方自体が悪いわけではありません。
大切なのは、自分の会社の支給条件を確認してから判断することです。
退職金の有無と支給条件を確認する
退職金についても、退職前に確認しておきたい項目です。
そもそも、すべての会社に法律上の退職金制度があるわけではありません。
会社に退職金制度がある場合は、就業規則や退職金規程などに支給条件が定められていることがあります。
例えば、
- 勤続年数
- 退職理由
- 支給額の計算方法
- 支給時期
などです。
そのため、「長く働いたから退職金があるはず」と考えるのではなく、まず制度そのものがあるのか確認しておくことが大切です。
厚生労働省の資料でも、就業規則などに退職金について定められている場合、その規定を確認することができます。
退職金があると思って生活費を計算していたのに、実際には対象外だった――ということになれば、退職後の資金計画にも影響します。
最終給与や未払いの賃金がないか確認する
退職するときは、最後の給与についても確認しておきましょう。
確認したいのは、
- 最終給与の支給日
- 最終給与に含まれる勤務分
- 残業代などの未払いがないか
- 交通費などの精算
- その他、退職時に精算されるもの
などです。
退職後は会社に確認すること自体が面倒になりやすいため、在職中に給与明細や勤怠記録を確認しておくと安心です。
特に退職後しばらく収入がなくなる予定なら、最後の給与がいつ入るのかは生活費を考えるうえでも重要になります。
私は退職を考えるとき、退職日だけではなく「その後いつまで今の給与が入るのか」というところまで考えるようにしました。
退職後の生活では、収入が途切れるタイミングを把握しているだけでも、資金計画を立てやすくなります。
退職後に必要になるお金を先に把握しておく
退職すると、会社員として給与から自動的に処理されていたものについて、自分で確認や手続きをする必要が出てきます。
代表的なのが、
- 健康保険
- 年金
- 住民税
- 所得税
- 雇用保険
などです。
退職後の健康保険については、国民健康保険だけでなく、条件によっては現在の健康保険を任意継続する方法や、家族の健康保険の扶養に入る方法などもあります。
どれを選ぶかによって負担額が変わることがあるため、退職前から選択肢を確認しておくと安心です。
また、退職後すぐに次の会社へ就職しない場合は、年金についても切り替えが必要になるケースがあります。
厚生労働省の退職後ガイドでも、健康保険や年金について退職後の手続きが案内されています。
退職後に「思ったよりお金が減る」とならないためにも、
退職後に毎月いくら必要なのか
を先に計算しておくことをおすすめします。
例えば、生活費だけでなく、
- 健康保険料
- 国民年金保険料
- 住民税
- 家賃
- 通信費
- 車の維持費
- 食費
なども含めて考えます。
退職後の収入が少なくなるなら、退職前に固定費を見直しておくのも有効です。
「退職してから節約しよう」と考えるより、収入があるうちに毎月の支出を把握しておいたほうが、精神的にも余裕を持ちやすくなります。
就業規則は退職を決めたら一度確認しておく
退職を考えたら、一度は就業規則を確認しておくことをおすすめします。
「法律では2週間前に言えば辞められるから、就業規則は関係ない」
と単純に考えるのは避けたほうがいいでしょう。
期間の定めのない労働契約では、民法上、原則として退職の申し入れから2週間で契約が終了するルールがあります。
一方で、厚生労働省も、会社の就業規則などに退職手続きが定められている場合は、その内容を確認したうえで適切な手続きを取ることがトラブル防止につながるとしています。
そのため、退職前には就業規則で次のような項目を確認しておきましょう。
- 退職を申し出る時期
- 退職届・退職願に関する規定
- 有給休暇の手続き
- 賞与の支給条件
- 退職金の規定
- 退職時に返却するもの
- 貸与品の扱い
- その他、退職時の手続き
会社によってルールが違う部分もあるため、まず自分の会社の規定を確認することが重要です。
特に賞与や退職金など、お金に関わる項目は退職日を決める前に確認しておくと安心です。
「2週間前なら必ず辞められる」はそのまま信じない
退職について調べていると、「正社員なら2週間前に言えば辞められる」という説明をよく見かけます。
これは完全な間違いではありません。
ただ、誰にでも同じように当てはまるわけではありません。
厚生労働省によると、契約期間の定めがない労働契約では、退職の申し入れから原則として14日が経過すると、使用者の承諾がなくても退職できます。
一方、契約期間が決まっている有期労働契約では、原則として契約期間の途中で自由に退職できるわけではなく、やむを得ない事由が必要になります。
つまり、
「2週間前に言えば誰でも辞められる」ではなく、自分の労働契約がどうなっているのかを確認することが先
ということです。
また、会社の就業規則に退職手続きが定められていて、その内容が合理的なものであれば、確認して従う必要があります。
退職日をめぐって会社と話が合わない場合は、感情的に押し切ろうとするより、契約書や就業規則を確認し、必要に応じて労働局などへ相談するほうが安全です。
退職理由は「どこまで伝えるか」を考えておく
退職を申し出るときに聞かれやすいのが、
「なぜ辞めるのですか?」
という質問です。
ここで、退職理由を細かく説明しなければならないと考えてしまう人もいると思います。
しかし、退職理由をどう伝えるかは、会社との関係や退職の事情によっても変わります。
私なら、退職の意思を伝える場面では、必要以上に自分の事情を説明しないことを意識します。
例えば、
「一身上の都合により退職したい」
という伝え方があります。
もちろん、会社との話し合いの中で具体的な理由を説明する必要があるケースもあります。
ただ、
- 会社への不満を全部話す
- 過去の不満を一つずつ説明する
- 辞める理由を相手に納得してもらおうとする
といったことまで必要とは限りません。
退職の話し合いで重要なのは、「自分の退職意思を明確にすること」と「必要な手続きを確認すること」です。
特に感情的になっているときほど、言わなくてもいいことまで話してしまいやすいので注意したいところです。
引き継ぎは「何もしなくていい」と考えない
退職について調べていると、
「引き継ぎをしなくても法律上問題ない」
という説明を見かけることがあります。
これも一律に判断しないほうがいいでしょう。
退職に伴う引き継ぎについては、雇用契約、就業規則、業務内容などによって事情が変わります。
少なくとも、会社に何も伝えず突然いなくなるような辞め方は避けたほうが無難です。
私なら、退職が決まったら、
- 自分が担当している仕事
- 定期的に発生する作業
- 注意が必要な業務
- 引き継ぐ相手が知っておくべき情報
- 保管場所や手順
などを整理します。
ただし、引き継ぎのために必要以上に自分だけが抱え込む必要もありません。
「退職するから全部自分で完璧に片付けなければならない」と考えると、退職前の負担が大きくなります。
必要な情報を整理して、後任者が確認できる状態にしておく。
そのくらいの考え方で、できる範囲から進めるほうが現実的です。
退職届と退職願は同じものではない
退職時には「退職届」や「退職願」という言葉も出てきます。
似ていますが、意味合いは異なります。
一般的には、
| 書類 | 主な意味 |
|---|---|
| 退職願 | 退職したいという申し出 |
| 退職届 | 退職することを届け出るもの |
という違いがあります。
ただし、実際の手続きは会社のルールによって異なる場合があります。
そのため、「ネットで見た書式をそのまま提出する」より、まず会社の就業規則や担当者に確認したほうが確実です。
特に退職日について会社との合意が必要な状況なのか、法律上の退職の申し入れとして扱うのかによっても話が変わります。
退職に関する書類は、提出前に内容と日付を確認しておきましょう。
私が退職前に特に確認しておいて良かったこと
私自身が退職について考えるようになってから、特に重要だと感じたのは「退職後の生活まで考えておくこと」でした。
退職するときは、どうしても最後の出勤日までに意識が集中します。
しかし、本当に大変なのは、その後の生活です。
例えば、
「最後の給与はいつ入るのか」
「退職後の生活費はいくら必要なのか」
「健康保険はどうするのか」
「年金の手続きは必要なのか」
「失業給付を受ける場合は何を準備するのか」
「住民税はどうなるのか」
などがあります。
特に私は、退職後すぐに次の仕事を始めるのではなく、しばらく自分の時間を確保することも考えていたので、退職前から生活費をかなり意識するようになりました。
退職後は、それまで会社が給与から処理していたものを自分で確認する場面が増えます。
だからこそ、退職してから一つずつ考えるのではなく、在職中に「退職後のお金」を一度整理しておくことが重要だと感じています。
退職後に必要な書類も確認しておく
退職前には、会社から受け取る書類についても確認しておくと安心です。
例えば、
- 離職票
- 源泉徴収票
- 健康保険資格喪失証明書
- 雇用保険被保険者証
- 退職証明書
などがあります。
すべての人が同じ書類を同じタイミングで使うわけではありません。
例えば、失業給付の手続きをする場合には離職票が重要になります。
厚生労働省によると、離職票を希望しているのに退職後10日を過ぎても届かない場合は、まず会社に処理状況を確認し、それでも届かない場合はハローワークへ相談できます。
また、退職証明書は離職票とは別の書類です。
労働者が請求した場合、使用者は遅滞なく交付する必要があります。
退職後に「この書類が必要だった」と慌てないよう、自分が何の手続きをする予定なのかを先に確認しておくと分かりやすくなります。
退職前に確認しておきたいチェックリスト
最後に、退職前に確認しておきたい項目をまとめます。
お金
- 最終給与の支給日を確認
- 未払いの給与や残業代がないか確認
- 有給休暇の残日数を確認
- 賞与の支給条件を確認
- 退職金制度の有無を確認
- 退職後の生活費を計算
- 住民税など退職後の支払いを確認
会社の手続き
- 就業規則を確認
- 退職の申し出時期を確認
- 退職届・退職願の扱いを確認
- 引き継ぎ内容を整理
- 会社から借りているものを確認
- 返却物を整理
退職後の手続き
- 健康保険をどうするか確認
- 年金の手続きが必要か確認
- 雇用保険の手続きを確認
- 離職票が必要か確認
- 源泉徴収票の受け取りを確認
- 必要に応じて退職証明書を請求
全部を一度に完璧に終わらせる必要はありません。
まずは、**「お金」「会社の手続き」「退職後の社会保険・雇用保険」**の3つに分けて整理すると、かなり分かりやすくなります。
まとめ|退職前に「知らなかった」を減らしておく
退職を決めると、「早く会社を辞めたい」という気持ちが強くなることがあります。
私自身も、退職について考えているときは、最後の出勤日ばかり意識していました。
ただ、退職はその日で終わるものではありません。
その後には、
- 最終給与
- 有給休暇
- 健康保険
- 年金
- 雇用保険
- 住民税
- 生活費
- 各種書類
などの問題が続きます。
だからこそ、退職前に一度整理しておくことが大切です。
特に確認しておきたいのは、
「自分はいくら受け取るのか」
「退職後にいくら必要なのか」
「会社から何を受け取るのか」
「退職後にどんな手続きが必要なのか」
の4つです。
また、「2週間前に言えば必ず辞められる」「引き継ぎは必要ない」など、インターネット上には状況によって変わる情報もあります。
退職について困ったときは、ネット上の一つの説明だけを信じるのではなく、自分の労働契約や就業規則を確認し、必要なら公的機関へ相談する。
それだけでも、退職前の不安はかなり整理しやすくなります。
退職は人生の中でも大きな変化です。
だからこそ、勢いだけで進めるのではなく、辞めた後の生活まで含めて準備しておくことをおすすめします。
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